
ナンピンは建値の調整、マーチンは数量の増やし方
ナンピンは、保有注文に対して価格が不利に動いた場合などに追加注文を出し、平均建値を変える方法です。マーチンは、追加時の数量を一定の倍率で増やす方法として使われます。注文を追加する条件と、その注文の数量を分けて読むと理解しやすくなります。
どちらも「小さな戻りで決済しやすくする」考え方と組み合わせられることがあります。ただし、価格が戻らず一方向へ進むと、追加した注文にも損失が生じます。平均建値が改善することだけを見ず、保有数量が増えた影響まで確認します。
平均建値が下がると、何が変わる?
100と90で同じ数量の買い注文をした場合
同じ数量を100と90で買った場合、平均建値は95です。価格が95へ戻れば、費用を除いた合計損益はゼロになります。ただし90からさらに下がれば2つの注文が損失を抱えます。戻りに必要な幅を小さくする一方、価格変動を受ける数量を増やした状態です。
90の注文を100の注文の2倍の数量にすると、平均建値は約93.33になります。平均建値はさらに下がりますが、合計数量は初回の3倍です。こうした数量の重みを考えずに「すぐ利確できる」とだけ読むと、不利な場面を見落とします。
倍率2倍では、5注文で初回の31倍になる
| 順番 | この注文の数量 | 合計数量 | 初回に対する合計 |
|---|---|---|---|
| 初回 | 0.01 lot | 0.01 lot | 1倍 |
| 追加1 | 0.02 lot | 0.03 lot | 3倍 |
| 追加2 | 0.04 lot | 0.07 lot | 7倍 |
| 追加3 | 0.08 lot | 0.15 lot | 15倍 |
| 追加4 | 0.16 lot | 0.31 lot | 31倍 |
この表は倍率2倍を仮定した計算例で、MUGINEKO各EAの初期設定を示すものではありません。初回ロットは0.01でも、5つの注文の合計は0.31です。ここから価格が同じ幅だけ不利に動けば、初回注文だけの状態に比べて損益の変化は大きくなります。
倍率だけでなく、追加間隔と回数も確認します。同じ合計数量でも、建値がどこにあるかで現在の含み損は違います。証拠金の拘束も増えるため、含み損と必要証拠金を同時に見てください。
追加を止めても、すでに持つ注文は残る
初回注文の停止は、新しい一連の取引を始めないための処理です。追加注文の停止は、保有中の注文に新しい数量を加えない処理です。損切りは、保有注文を決済して損失を確定させる処理です。これらは別の動作なので、設定名だけで同じだと考えないようにします。
追加停止に到達した後も、保有する数量は価格変動を受けます。含み損を5万円で判定する設定があっても、それが決済機能でなければ「最大損失5万円」とは読めません。決済機能であっても、急変時の約定価格によって実際の損失が変わる場合があります。金融庁|外国為替証拠金取引について
買いと売りを同時に持っても、費用や損失は消えない
両建ては買いと売りを同時に保有する状態です。同じ銘柄を同じ数量で持てば、価格変動による損益の変化を一部相殺できますが、すでに抱えている損失を自動で取り戻すわけではありません。注文ごとのスプレッドやスワップもあり、証拠金の扱いは口座の条件によります。
買いと売りの数量が違えば、差の数量に相当する値動きの影響が残ります。注文が多いほど状況を読み取りにくくなるため、方向別の合計数量、平均建値、含み損を分けて見ると整理できます。
成績は勝率と確定利益だけで判断しない
小さな利確が続くと、履歴には利益が多く並びます。それでも、まれに大きな含み損やロスカットが起きれば、それまでの利益を失うことがあります。勝率は一つの情報ですが、損益額の大小や、取引が終わるまでに必要だった資金を示す指標ではありません。
比較するときは、最大追加回数、合計ロット、最大含み損、回復にかかった期間を見ます。公開デモは未決済の注文まで確認してください。検証レポートの読み方を知ると、利益の画像だけでなく悪い場面の記録も比較しやすくなります。
戻りが来ない場面を、追加後の数量から考える
価格が100から90へ下がり、追加注文をした後に80へ進む例を考えます。平均建値が95まで下がっていても、価格80では初回と追加のどちらにも損失があります。どこかで戻ることを期待するだけでは、そこまでの値幅に対して必要な資金が分かりません。
追加注文の間隔を広げると、同じ値幅で出る注文の数が変わる場合があります。一方で、平均建値や決済に必要な戻りも変わります。間隔を変えれば必ず安全になると考えず、注文の数、数量、建値の3つを合わせて見ます。設定の良し悪しは、都合のよい一場面だけでは判断できません。
「何回追加したか」と「何注文持っているか」は違う
初回1注文に追加4注文なら、保有数は5です。設定や紹介で「4段」と表現する場合、初回を含むかどうかは製品の数え方によります。回数制限や早期決済の説明を読むときは、初回を含む段数なのか、追加回数なのかを確認してください。
| 記録する項目 | 同じ条件で比べる理由 |
|---|---|
| 初回を含む保有数 | 段数の数え方を揃える |
| 方向別の合計数量 | 買いと売りの偏りを把握 |
| 最大含み損と継続時間 | 資金の拘束を確認 |
| 決済時の合計損益 | 部分利益と全体利益を区別 |
途中で一部だけ利益確定した場合、残る注文の損失が大きいこともあります。履歴に利益が並ぶことと、一連の取引全体が利益で終わることを分けて確認しましょう。
よくある疑問
ナンピン型ならいつか戻って利益になりますか?
価格が戻る時期も幅も保証されません。戻る前に資金や証拠金の余裕がなくなる可能性があります。保有を続ければ必ず解決すると考えず、数量と停止・決済条件を確認します。
初回0.01ロットならリスクは小さいですか?
初回だけでは判断できません。追加後の合計ロット、建値、必要証拠金を見る必要があります。倍率2倍の例では5注文の合計が0.31ロットになります。
この表の倍率はMUGINEKO EAの設定ですか?
違います。数量の増え方を説明する仮定です。各EAの内部ロジックや標準倍率を公開する表ではありません。
参考資料・確認した情報
2026年10月4日確認。口座条件が変わる場合は、各公式サイトの最新案内を優先してください。